佐渡は山野草の宝庫です。この島には多くの植物の南限、北限が重なり、また、海岸線から標高千メートルをこす山々まで、変化に富んだ環境に恵まれています。そうした佐渡の一角に、“花の百名山”ドンデンはあります。無心に咲く花たちから、あなたはどんなメッセージを受け取りますか。

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 春の花
アラゲヒョウタンボク

山に生える落葉低木。なまえは葉に荒毛があり、赤実が2つくっついて瓢箪状になるからである。3月の彼岸頃からこの木は芽吹き、花咲かせる春告げ花。若葉はもえ黄緑色に葉を開き、淡い黄白色のジョウゴ形の花を2つくっつけて、下向きに花をいっぱい咲かせる。
[ 花期 3〜4月 ]
エゾエンゴサク

エンゴサクは漢名延胡索によるが、地下にある球根を延胡索と呼び薬用した。蝦夷は北海道のこと。本州中北部に分布する北方・寒地系植物。佐渡はヤマエンゴサクにくらべ、圧倒的にエゾエンゴサクが多い。前者は花の付け根の苞が裂れこむが、後者は苞が裂れこまないで全縁になることで、区別できる。花の色は、ハナズオウの桃色によく似ている。鮮やかな色なのだが、葉の方もこれまた若々しい緑色である。 [ 花期5〜6月 ]
エチゴキジムシロ

新潟県下では海岸から亜高山まで広く分布する。越後の名がつけられたのは、本州の日本海側の新潟県以北に分布する日本海要素であるからである。五弁の黄花は鮮烈。日当たりのよい山野の道ばた、林の縁、草原などによく生える。奇数羽状複葉で、エチゴキジムシロは小葉は5枚、下の1対は小さく、時に消失する。和名は地面に広がる株を雉の座る莚に例えた。  [花期5〜6月 ]
エンレイソウ

エンレイソウは延齢草の意味。古名は延年草。初々しい花が咲くまで齢を延ぶること15年余りもかかり、名まえもここから生まれた。属名トリリウムは三基数のユリの意味。雌しべの 小房3室、花柱3、雄しべは3となっている。現在は輪生する食べられる三葉にもとづくミツナ、ヤマミツナの名で呼び、春の山菜とするが、こんなにうまいものが山にあるかと思うほどうまい。葉の中央に果実の熟すのは6月。 [ 花期4〜5月 ]
オオイワカガミ

イワカガミは岩鏡の意味。高山や亜高山の岩場に生え、葉は鏡のようにツラツラしているからである。 佐渡はほとんどオオイワカガミ。イワカガミは大佐渡の金北山やドンデンの尾根部の 季節風に直面する岩場や砂礫場などの限られた高山地にのみ分布する。オオイワカガミは葉は長さ幅とも10aをこし大きく,イワカガミの数倍の大きさ。 [ 花期 5〜6月 ]
オオカメノキ

大きな亀の甲を思わせるので標準和名はオオカメノキである。佐渡ではずばりオオバ(大葉)とよぶ。 また、この葉に似たガマズミ・ミヤマガマズミを(小判)、ムシカリを(大判)と呼んでいる。里山のコナラ林縁にガマズミの白花が咲く頃、中山から奥山のブナ・ミズナラ林縁のオオカメノキの花も満開となる。白い飾り花でで縁どられた両性花をつける。 [ 果期 8〜10月 ]
オオタチツボスミレ

本種はスミレサイシンと同じく、分布は本州では最高積雪量50a以上の地域内とする。タチツボスミレの雪国型で、タチツボスミレと区別しにくいものが多い。 葉がいちばんの特徴で、タチツボスミレの葉はほぼ心形で、長さも幅も4a以下。オオタチツボスミレの葉はほぼ円形で長さも5a以上と大きく、葉脈がへこむのでよく目立つ。オオタチツボスミレの花は根生せずふつう茎上のも生じる。 [ 花期 4〜5月 ]
ユキワリソウ(オオミスミソウ)

早春、雪を割って花を開くので、春の前ぶれとして愛される。早春季植物。太平洋側のものは、花も小さく色も淡く桃色と白色のみ。日本海側のものは花(萼片が花弁状)も大きく、花の色とシベの色の組み合わせも変化にとみ、太平洋側のもの(ミスミソウ・スハマソウ)と区別してオオミスミソウと呼ぶ。自然は、雪深い日本海側に美しい妖精を配してくれた。ユキツバキと同じく雪国を代表する美花。雪の消えた地に敷きつめたように咲く。深紅・紅・紫・青・白色と千変万化の花の色を見せてくれる。 [ 花期 3〜5月 ]
カタクリ

ピンクの蕾は上から下へ向きを変え、うつむきのまま花を開く。万葉集ではカタカゴと呼ぶ。うつむいて咲く花を傾いた篭に見たてての名。大佐渡山地に大群生する。山麓のコナラ林、山腹から山頂にかけてのミズナラ・ブナ林の雑木林に下に、足のふみ場もないほど大群生し、訪れた人々は日本一の群生と賞賛する。 [ 花期 4〜5月 ]
キクザキイチゲ

早春花キクザキイチゲ(菊咲一華)、キクザキイチリンソウともいう。花の色は白が多いが紫色をルリイチゲという。清楚で凛と咲き、あっという間に姿を消すスプリング・エフェメラル(春のはかない短命の植物)で、生態上<春季植物>である。粉雪散らつく風花の日にも咲く。また、この花をヨメナカセ(嫁泣かせ)ともいい、嫁たちの春の山入りを告げる花である。[ 花期 3〜5月 ]
ザゼンソウ

大佐渡のドンデン周辺は色とりどりの春告花の咲く花園。白骨の池と呼ばれる湿原はザゼンソウの群生地。赤茶色の部分は仏炎苞といい、内部にある黄色の花の集まりを包み守っている。仏炎は仏に供える炎、ローソクの炎形である。同じ仲間のミズバショウは白い仏炎苞。苞は葉の変形したもので苞葉とも言い蕾や花を包み保護する葉のことで、麟片状にもなり、また本種のように色づいて花弁状になるものである。苞の内にたつ黄色の肉質の棒状のものが花の集まりで、肉穂花序と呼ばれる。 [ 花期 4〜5月 ]
サンカヨウ

深山の名花。幻の花である。大佐渡の東北部の尾根周辺の沢沿いに生える。カタクリ、キクザキイチゲ、シラネアオイの咲く頃である。「雪解けとともに芽吹き、芽が伸びだしたと思うと、もう翌日にはパッチリと歓迎してくれる」花の命は短くて花のちょうどよい頃にはなかなか会えない。そういった意味で幻の花である。サンカヨウ(山荷葉)の名まえはなにに由るのか。蓮は蓮の実のこと、荷はハスの葉のこと。サンカヨウは山にある荷(ハスの葉)に似た大きな葉をつける植物の意味。[ 花期 5〜6月 ]
ショウジョウバカマ

県下では海岸近くの低地(垂直分布下限5b)から高山(上限2040b)まで広く分布する。湿地を好む特性が雪国の風土にあうのであろう。渓谷や沢沿いの湿原度が高く、常にしぶきがかかるような場所では岩場や沢辺一面を占拠する。根生葉の先が地面に接すると無性芽と根を出し、新株となり、まわりに群落を広げる。花房の色は濃い紅紫から淡い紫白と株によりさまざま。ザランザランと垂れ下がる花房に着目して越後ではカンザシバナ、佐渡ではコメゼエバナという。和名は紅紫色の花を猩々の赤い顔に、葉を袴に見たてた。 [ 花期 4〜5月]

シラネアオイ

白根葵の名は栃木県の白根山に多く、花がタチアオイに似ることに由る。高山植物。海抜600b前後の低山である小佐渡山地には分布しない。大佐渡の深山には、群れて群れて、咲いて咲いての花の道や沢が今も残っている。淡い紅紫の萼は花びらを思わせる。花びらの繊細なひだとふくらみ、シベの愛らしさ、ちりめん状に波うつ葉のソフトさ、山草の女王の気品を漂わせる。 日本の固有種で1科1属1種。日本の多くの植物は列島誕生の2500万年前に誕生し分化発展した。シラネアオイ属は、もっと古い時代の古第三世紀の初めの7500万年前に誕生した。7500万年間に多くの種を分化し栄え、その多くが滅亡したと言われる。[ 花期 5〜6月]
タニウツギ

なまえは雪崩の生ずる谷や沢に群生し、茎が中空なことに由る。花房となって咲くピンクの花を若い娘さんになぞらえてアネサンバナとも呼ぶ。日本海側の雪国植物で雪崩崩壊地の標微種。 [ 花期 5〜6月 ]
タムシバ

樹高3〜4メートルと小さく、花は純白で紅味をおびない。花の下にコブシのように葉がつかない。コブシは蕾の形が子どもの拳(こぶし)に似ることに由るが、タムシバは噛柴(かむしば)の転じたもので、柴(枝)を噛むと非常によい香りがすることに由る。 [ 花期 4〜5月]
チゴユリ

チゴユリ(稚児百合)。小さく可憐な花を稚児に見立ててこの名がある。高さ15aほどの花茎の直径2aほどの白色6弁花が咲く。花は下向きに1個、多くの白花を下垂させる大型のオオアマドコロやナルコユリにくらべ、控えめである。栄養状態がよいと2〜3個咲く。また先が枝打つエダウチチチゴユリもある。明るい湿り気のある雑木林の下などでは群生するが、ふつうはポツポツと点在する。越後ではヘビユリ、長野ではヤマンバノヨロ(山姥の百合)、越後中頚城ではヤマノバサノヨロと呼ぶが、佐渡では方言がない。 [花期 5〜6月 ]
ニリンソウ

「一輪咲いて一輪草 二輪咲いて二輪草 三輪咲いて三輪草」は白秋の歌。いずれもイチリンソウ属の春告花で、山地の林内、林縁、沢沿いに群生する。イチリンソウは、対岸の角田・弥彦山に多産するが佐渡にはない。サンリンソウも自生しない。ニリンソウは多産し大群生する。ひとつの茎に二輪咲かせるのでこの名があるが、必ずしも二輪ではなく、一輪も三輪もある。 [ 花期 4〜5月]
ヒトリシズカ

花も美しい。名も美しい。「君が名か一人静かといひにけり」。山かげにひっそり咲くヒトリシズカ。その出会いに「ああおまえが一人静か」と声のんだ室生犀星の句である。静御前の白拍子姿に例えてこの名があるが、義経と別れる際に舞った静の気高いまでの美しさ。ヒトリシズカはミヤマカタバミ、ミヤマキケマンなどと晩春の山を彩る花。 [ 花期 4〜5月 ]
フクジュソウ

日本の野生品と同じものが、東シベリアや中国大陸に分布し、アムール・アドニヌ(アムールの少年)の英名で呼ばれるが、幸福と長寿のむすびついた日本名の福寿草の名がいちばんよい。佐渡では冬の季節風に直面する北西むきの海岸カシワ林内に大群生する。冷たく寒いことが好きな花である。 [ 花期3〜4月 ]
ミズバショウ

ミズバショウは水地に生え、葉が大きくてバショウの葉のようだからである。学名はリシキトン(分離した衣の苞葉が、まん中に立つ肉穂花序から離れている意味)・カムチャンケンス(カムチャッカ産)で、高地・北国の植物を表す。日本のミズバショウの花はほのかな香りがする。 [花期4〜5月]
ミヤマカタバミ

山に入って林の下に目につくのがミヤマカタバミ(深山傍食)である。葉の上部がへこみ欠けるためカタバミ(傍食)と名付けられた。山のものは花が白い。花の直径は4aほど。5弁花は満開時でもややしぼんだ状態でうつむきかげんに咲き、アピール度は少ない。[ 花期 5月]
ヤマシャクヤク

シヤクヤクは中国東北部および北朝鮮の原産。古い時代に薬種として渡来した。根が薬となる。生薬名の芍薬の音読みが名前となった。山にあるシャクヤクがヤマシャクヤク(山芍薬)で白花である。深山の湿り気のある腐植に富んだ林下に生える。[ 花期 5〜6月 ]
レンゲツツジ

5月、佐渡の野山にレンゲツツジが咲く。佐渡ではツツジまたはヤマツツジ。和名は蕾が輪生状につくありさまがレンゲに似ることに由る。山野の陽地に多い。越後に自生するヤマツツジやユキグニツツジは佐渡には分布しない。山野の崩壊地にいち早く進入し群生するパイオニア植物。日陰になると育たない陽樹。 [ 花期 5〜6月 ]
 夏の花
イブキジャコウソウ

イブキジャコウソウのイブキは伊吹山のこと。ジャコウは雄のジャコウジカの腹部の香曩から製した香料のこと。この植物のもつ強い芳香を麝香に例えたもの。よい香りが遠くまで達するので漢名、百合香。しかしこれは中国人の誇大語。腺点とは組織中にある液体の入った点状のふくろのことで、芳香は腺点より生ずる。信濃ではこの植物を枕に入れて安眠枕をつくる。全草を煎じて飲むと壮快となりかぜも治るとされるが佐渡では薬草としての伝承はない。それもそのはず、深山、大佐渡の尾根周辺(海抜1000b前後)にしかない。大佐渡山地、東北部のタタラ峰(通称ドンデン)。冬の季節風が入川渓谷に吹き込み、尾根部は風蝕されて母岸の露出するタタラ(風蝕で露出された母岸と砂礫の地形)となる。このタタラの岩場・砂礫場に咲く。 [ 花期 6〜7月 ]
ウラジロヨウラク

日本にはヨウラクツツジとよばれるツツジがある。ヨウラクは瓔珞と書くが、印度の貴族が頭や首、胸などに飾った宝石や貴金属の飾りのこと。下に垂れ下がったツボ型の美しい花を瓔珞にみたててこの名がつけられた。佐渡のものは葉の裏が粉白色でウラジロヨウラクとよばれる種。 [ 花期 5〜6月 ]
エゾアジサイ

佐渡に自生するアジサイはエゾアジサイ。北海道(エゾ)南部より陸奥(ムツ)をへて、日本海の山地まで分布する日本海要素。別名ムツアジサイ。 太平洋側で関東似西、四国、九州に分布する太平洋要素はヤマアジサイ。エゾアジサイに比べ葉の長さも5〜10aと小さく、まわりをとりまく装飾花も小型で淡い紫色。それに対しエゾアジサイは、葉の長さも15aと大きく、装飾花も大きく紫色の色も濃い。雪に閉ざされる裏日本、しかし自然はこの地に雪国特有な美しい花を配してくれた。 [ 花期6〜7月 ]
オオウバユリ

佐渡に野生するものは落葉樹林域の北方・寒地要素のオオウバユリである。背丈以上の花茎の上に、緑白色の花を20花近くつける。花が咲く時、葉はほとんど枯れている。娘が十八になったとき、もう歯(葉)がない姥(うば)になっているにたとえて、オオウバユリ(大姥百合)の名が生まれた。 [ 花期 6〜7月 ]
キリンソウ

山や海辺のザレ場、岩場、岸壁などに生育する。分布は海岸から山頂まで広い。多肉と厚葉で風衝と乾燥に耐え、他の植物の入れないきびしい立地に侵入するパイオニア植物。大佐渡山系のドンデンはタタラ峰と呼ばれる風蝕ザレ場の多い所、入川渓谷に集まった風は自然のフイゴ(吹子)となってぶつかり、タタラ(風蝕によって露出したザレ場)を作る。このタタラの渓谷を埋めて群生するのがキリンソウである。 [ 花期 6〜7月 ]
クガイソウ

紫色の白い花穂が少し傾く。若い夏穂は白っぽい。下から咲き登るが、咲くにつれて紫色に変わる。小さい花が密集して花穂となるが、花冠は筒状で先は四つに裂ける。長さ7〜8_の小さな花。花冠も紫色、花から突き出した2本の雄しべも紫色である。クガイソウは九階(蓋)草の意味。茎につく輪生薬が幾重にもなって九階になるからである。[ 花期 7〜8月 ]
クルマユリ

クルマユリは車百合の意味。茎のなかほどに1〜3段に10枚ほどの葉が車の輻(や・放射状の棒)のように輪生することに由る。花は直径5aほど、班点のある赤褐色の花びらの上半分は強く反りかえり、花は下向きに開く。高山の雪渓付近の礫まじりの草地に多く、夏のお花畑の華麗なスターとされる。 [ 花期 7〜8月 ]
サワフタギ

サワフタギは樹高1〜2bの落葉低木。沢蓋木の意味で、沢に生い茂り沢をおおいかくすからといわれるがこのような群生をみたことがない。タニウツギやノリウツギが雪崩のある谷斜面に群生するように、サワフタギもある環境下で谷に群生する。枝の先に円錐状の花房がむらがりつく。つきすぎて白いわたくずが吹き出したようになる。 [ 花期 5〜6月 ]
ズダヤクシュ

「日本産物詩」(1872)に「山民の方言に、喘息を『ズダ』と称す、此草喘息を治す偉効あるを以て、ズダ薬種の名ありと云」と記してある。ズダは木曾地方の方言とされる。花茎は20aほどで頂上に白い小花が下向きに開く。 [ 花期 6〜8月 ]
ツリガネニンジン

花の形を釣鐘に、太い根をチョウセンニンジンに例えた名前である。高さ70aほど、枝先に、青紫色の釣鐘形の花が輪生状に下垂する。俳句や歌では釣鐘草、風鈴草とも呼ぶ美しい花。いろいろと変異があり、佐渡にも、海岸性で照葉で全草に毛がないハマシャジンや、全草に毛が蜜生するシラゲシャジンがある。シャジン(沙参)はツリガネニンジンの慣用漢名である。大佐渡山地の尾根部の砂礫場のものは、花はずんぐりした広鐘型で節問つまり、高山型のハクサンシャジン型である。 [ 花期 6〜9月 ]
ノリウツギ

7月花が満開となる。花は2〜3bの茎頂に円錐状につく。樹皮と木質部の間の柔い内皮をはぎとり水につけると和紙をすくためのノリができる。ノリノキ、トロロノキ、ハナタラシ(佐渡の方言)の名で呼ばれる。 [ 花期 7月]
ハクサンシャクナゲ

佐渡のシャクナゲはハクサンシャクナゲと呼ばれる高山性のシャクナゲ、この1種しか自生していない。金北山〜ドンデン縦走路、ドンデンなどが群生地である。佐渡の最高峰金北山(海抜1172b)は御山とよばれる神おわす峰。御山の神は、白雲の中で白い馬にまたがり、手に純白のナギの花をもつと言い伝えられている。ナギの花は神の花。ナギは儺木で、人にふりかかる難を追い払う神木の意味で、シャクナゲの古名である。 [ 花期6〜7月 ]
ホツツジ

ホツツジは穂ツツジの意味。枝の先に直立する穂状の花房を出すことに由る。山に生える高さ1〜2bのツツジであるが、レンゲツツジやウラジロヨウラクの様に大きくはならないから目をひかない。淡い紅色をおびた白色の花が多くつく。 [ 花期 7〜8月 ]
マツムシソウ

秋をいち早く告げる花。大佐渡の尾根のザレ場では立秋(8月上旬)にも花を見る。ザレ場は風蝕された砂礫場のこと。シバ草原の荒れたシバ荒原が、マツムシソウの群生地。マツムシソウは松虫草と書く。チンチロリンと鳴く秋のマツムシが鳴きはじめる頃から咲くからという。 [ 花期 7〜8月 ]
ヤグルマソウ

ヤグルマソウ(矢車草)は葉の形が端午の節句に立てる鯉のぼりの矢車にそっくりだからである。根出葉は長い柄があって5枚の小葉をつける。ひとつの小葉の長さは40a、幅30aにもなるから5小葉からなる掌状葉はひとかかえ以上の大きさになる。深山の渓谷沿いに群生するがその景観は壮快である。林の下の日かげに生える葉は緑色、林のふちで春の光を強くうける若葉は濃く紅紫変し、その群生は強く目をひく。信濃ではゴハ(五葉)、サルカサ(猿笠)などの名でよび、戦時中はオオイタドリなどの葉とともにタバコの代用品にしたという。[ 花期 6〜7月 ]
 秋の花

アキノキリンソウ

名前は秋に咲くキリンソウの意味。本種の別名アワダチソウは、豊かに盛り上る花の集まりを酒をかもした時のアワに見立てたもの。茎のたけは30〜60aで茎の下部は紫黒色である。茎の先に黄色の小さな頭状花が穂になってつく。ひとつの頭状花のふちに雌性の舌状花が5〜7と、中央に両性の筒状花が12〜13ほどついている。実を結ぶのは中央の筒状花。 [ 花期9〜10月 ]
アケボノソウ

アケボノソウは、花びらの模様をほのぼの明ける夜明けの星空に例えたものである。花の直径は3aほど。花は深く5つに裂け5片の離片花と思えるが合弁花である。花びらの先は細長い。白色またはクリーム色をおびている。花片の半分より先に模様がある。中央部に緑黄色の大きな班点が2つ並んでいる。 [ 花期9〜10月 ]
ウメバチソウ

花の形が天満宮の梅鉢紋に似ているのでこの名がある。花の直径3aほどの白色の梅に似た花が平開する。花は5基数性。萼片5・白色弁5・雄シベ5・雄シベと雄シベの間の花粉を出さない飾り雄シベが5。雄シベ先熟で他家受精花。根生葉の中から高さ20aほどの花茎を数本直立し、1枚の葉と1個の花をつける。 [ 花期 8〜9月]
エゾリンドウ

秋はまわりの湿原にエゾリンドウの花が彩る。佐渡には湿原が少ない。山を歩けば小さなエゾリンドウがひっそりと咲いている。エゾと冠するとおり本州の近畿以北、北海道、サハリンに分布する北方種。エゾリンドウは茎太く直立、葉のふちにギザギザはなく、花冠の5裂片の間の副冠は先はとがらない。リンドウの茎は細く、直立するのはまれで斜上するものが多い。[ 花期8〜9月 ]
クサボタン

葉がボタンの葉に似て、全体のようすが草に似るのでこの名がある。葉は対生で3枚の小葉よりなるが、小葉の先はとがり2〜3に切れ込む。ボタンの小葉もまた2〜3に切れ込み、先がとがり両種は似ている。茎の上部は草であるが、茎の下部は木質化するので草とも木ともつかないが、草か木かのどちらかといえば木となる。多くの美しい紫花を下に向けて開く。花は鐘の形で、下部は筒となり上部は外側にそりかえる。花も花の柄もビッシリと白い綿毛のような毛が密生し、毛深い花である。 [ 花期 8〜10月]
サラシナショウマ

升麻(しょうま)は、葉が麻に似て、花房がアワの穂のように上向きにつく植物の意味。方言イヌノオのとおり、夏、犬の尾のような白い花の総を上向きにつける。現在の名前はサラシナショウマ。ゆでて、よく水に晒して菜にするので「晒し菜」である。[ 花期 9〜10月 ]
ダイモンジソウ

漢字で大文字草と書くが、花につけられた名である。秋咲く白い花は5弁、上の3弁は小さく、下の2弁は長く伸びて、漢字の大の字に似る。湿った渓谷の岩場に生える。春、若葉を摘み食べる。岩場に群がるツベンツベンした葉。その若葉から花茎が伸びて秋に思いがけない白い繊細の花をつける。[ 花期9〜10月 ]
ツルリンドウ

ツルリンドウは蔓竜胆の意味。茎が蔓となって巻きつくのでこの名がある。木や草にからみつくがあまり高く登らず人の背たけほどの高さまでである。地面を這うだけで物には巻きつかない種類の方が多い。ツルに対生する葉は深い緑色で、葉の裏は紫色をおびる。里山から奥山まで広くみられる。新潟県内には多く分布し、上限は2000b(糸魚川市小蓮華山)であるが、概して1000b以下に分布する。葉のつけねに着く花は、淡い青紫色で地味である。花は5数性、萼筒は5条のせまい翼があり、花筒の先は5つに裂け、雄しべは5本である。日本のリンドウ科植物30種の中でづ水分の多い液果をつけるただひとつのもの。 [ 花期 8〜10月 ]
ハンゴンソウ

沢の縁や湿原などで群生する。林道造成、道路拡幅、林の伐採など自然の破壊された立地にいち早く侵入する。多年生で草丈の高い高茎草本群落を成立させるが、自然が回復すると姿を消していく。葉が深く裂けるのが特徴。2bあまりのがっしりした茎を直立させる。枝先が枝わかれし散房状に多くの黄色の頭花を密につける。頭花の直径は2aほど。一列の舌状花4〜5個と中心に多くの管状花がある。名前は反魂草の意味。反魂とは死んだ人の魂を呼び返し蘇生させること。生薬名は劉寄奴草で、金瘡(刀や槍などの切傷)の妙薬とされる伝説上の生薬。死に瀕した傷者に驚くべき効き目があるとされる中国の伝説上の秘薬。 [ 花期 8〜9月 ]
マルバキンレイカ

マルバキンレイカ(円葉金鈴花)のマルバは、キンレイカに比べて葉の切れ込みが浅いからとのこと。茎の先に鮮やかな黄色い小花がびっしりと房となる。金鈴のような花房。キンレイカに対してマルバキンレイカは北方要素。本州の新潟県以北、北海道、南千島に分布する亜寒帯要素。新潟県内も上越・中越・下越(新潟市周辺)には分布せず飯豊山と岩船・佐渡に分布する。[ 花期 9月 ]
ミヤマコゴメグサ

ドンデンは広大なシバ草原の広がる放牧高原である。一方、冬の季節風に直面して風蝕ザレのタタラ峰となる。シバ草原と風衝荒原は互いに拮抗しているがこれらの境界地に優占し生えるのがミヤマコゴメグサである。初秋、ドンデンの荒草原は、米粒のような小さな白花を咲かせるミヤマコゴメグサの高原となる。花は唇形花。唇を突きだしたような形の花である。[ 花期 8〜9月 ]
ヤマトリカブト

トリカブトは花の形が能楽の時に使う伶人の冠に似ることに由る。新潟県にはミョウコウトリカブト・オクトリカブト・ヤマトリカブト・ハクサントリカブト・タカネトリカブトの5種が分布する。佐渡に分布するのはヤマトリカブトの1種である。放牧牛に一切食べられない有毒植物。 [ 花期 8〜9月 ]
ヤマホオコ

人里のホオコグサが多い。紀元前2〜3世紀の弥生時代にイネの渡来にともなって入ってきた。古名はオギョウで春の七草ひとつである。茎の自毛も、頭花の冠毛も、ほおけ立っていることからつけられた名である。ホオコグサに似た花で山に分布するのがヤマホオコである。 [ 花期 8〜9月 ]